紅茶と健康

紅茶の効能

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一概に紅茶といっても種類が多い。熱帯産のアッサム種で作った紅茶と温帯の中国種で作った紅茶では総ポリフェノール量や発酵(酸化)の度合いによるカテキンの酸化度合いによるポリフェノールの種類が大きく異なる。そして大部分のカテキン重合体(テアルビジン)はその化学構造が未解明である。したがって一口に紅茶と括って化学的な議論をすることが困難である。

その点緑茶にもさまざまな種類があるものの、主力4種のカテキンがキッチリ解明されており、各々が大量に取り出され、分析も容易であり、抗酸化力はじめさまざまな効能が正確に調べられている。一般論としては緑茶抽出液と紅茶抽出液の比較では緑茶のほうが勝るとする論文が多い。

しかし世界中で消費される茶の8割近くが紅茶であり、その飲用が人の健康に良いということが言えれば、僅かな力価の差とは別次元の喜ばしい事柄である。

紅茶の飲用による健康効果

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酸化防止効果

紅茶はその製造工程からして発酵茶に分類され、茶カテキンが酸化され、抗酸化能が無くなっているかの誤解がある。確かに外界において油等の酸化を防止する力は弱いが、一方生体内での活性酸素の酸化防止能力を測ると測定法により差異があるが、紅茶のテアフラビンは未酸化のカテキンよりも強いという論文がある。テアルビジンも日本で飲用しているレベルの紅茶から抽出したものは、テアフラビン並の力価がある。

最近の医学の研究では,呼吸による酸素の働きがエネルギーの基ではあるが、同時に不可避的に微量生ずる活性酸素が細胞組織の劣化、血液中の脂質の過酸化を起こすとされている。このとき活性酸素を消去する酵素類が生体防御機構として働くが、過剰な活性酸素の生成に対しては、飲食品中の抗酸化性物質が対応しなければならない。抗酸化ビタミンといわれるビタミンA,C,Eなど、ひいては果実や緑黄色野菜の摂取が勧められる理由である。

緑茶カテキンや紅茶ポリフェノールもわれわれにとって重要な生体内抗酸化物質である。茶の飲用により生体内の活性酸素、フリーラジカルを消しされば、それらによって引き起こされる生活習慣病(以前は成人病といわれたがん、高血圧,脳卒中,心臓病,糖尿病など)の予防,老化の抑制(例えば老人性シミの発生防止,血管等体の組織がもろくなるのを防ぐ)、メラニン色素生成を防ぐ美容等には充分効果が期待される。

すでにアメリカでは抗酸化能のある物質の栄養補助錠剤が多く発売され抗酸化の言葉が即、健康によいとのイメージが浸透しており、紅茶の業界でも紅茶フラボノイドの抗酸化性にPRを集中している。

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がんの予防効果

がんはその部位や状況によって、さまざまな種類があり、紅茶ポリフェノールがどれだけ効果があるかについての、個別研究は緑茶カテキンより少ない。緑茶カテキンの例を紅茶溶液と比較するか、紅茶特有のポリフェノールのテアフラビンをカテキンと比較する程度である。

動物を用いたがん予防試験は各種がん、各部位、進行状況などの試験が数多く行われており、ある種のがんの進行を予防し、紅茶の飲用がある程度がんの予防に効果はあると考えられる。

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抗菌作用との関連

ボツリヌス菌に対する殺菌効果は紅茶液が砂糖の有無に関わらず緑茶より強いことは判明している。緑茶カテキンや紅茶テアフラビンはコレラ菌など一般的な食中毒細菌に対しても殺菌効果があることが知られている。衛生状態の悪い国を旅行する時には、紅茶はどこでも入手可能であるから、できるだけ飲用することが安全である。

一方、茶ポリフェノールは乳酸菌やビフィズス菌などには影響を及ぼさず、結果的に腸内細菌の比率は善玉菌が増えて悪玉菌が減り、便秘と下痢の双方に効能を示し、便の臭気が薄くなることも確かめられている.また胃炎ひいては胃がんの原因菌といわれ出したピロリ菌に対する殺菌性も認められた。

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ダイエット効果

茶カテキンのもつ糖分分解酵素の阻害作用がダイエット効果を示す。烏龍茶では脂肪分解作用がいわれているが,これは脂肪吸収抑制作用と解すべきであろう。以上の諸作用は紅茶ポリフェノールでも同様に期待される。

ただし紅茶を飲むのに砂糖やミルクを大量に加えたり、同時にケーキなどを大量に食べてはダイエットは無理であろう。同様に糖尿病に対しても予防的に働くような効果も考えられるが、インシュリン注射を必要とする糖尿病に対しては茶の飲用は無効であろう。

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花粉症(1型アレルギー)対策

紅茶飲用とヒト花粉症の臨床データではないが、紅茶を飲んで何らかの効果が期待できるかもしれない。

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エイズ対策

エイズウイルスの感染は接触によるもので、感染防止に紅茶は役立たないが、紅茶飲用によりウイルス感染者が発症に至る期間を遅らせる可能性はあるかもしれない。HIVは潜伏期間が長く、猿などを用いた動物試験も難しく疫学によるほかない。

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放射線被爆対策

同じく発病が遅れて出現するものに放射能の被爆がある。ラットによる放射線照射による試験は繰り返し行っているが,未だに有意差のあるデータは出ていない。しかし広島,長崎の被爆生存者のがん発生率は茶の愛好者の方が遥かに低いという調査もあり、8年にわたる火星探査宇宙飛行士の放射線対策飲料に抗酸化能の強い茶を推薦した事例から、放射能による遺伝子の損傷に茶が有効と思われる。

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疲労回復とストレスの解消ほかカフェインの働き

紅茶の効能にはカフェインによる作用もある。カフェインの働きは疲労回復、ストレスの解消、中枢神経の興奮、覚醒作用、強心作用、運動敏捷性、抗喘息作用,利尿効果等があるが、紅茶ではカフェイン単体より作用がマイルドになっている。
また、カフェインはエネルギー源としての脂肪を優先的に消費する作用があるといわれ、有酸素運動時に摂取すればダイエット効果が見込めるかもしれない。

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有害成分の排出

紅茶ポリフェノールへの吸着とカフェインの利尿効果で紅茶飲用により残留農薬や環境ホルモンを比較的すみやかに尿として体外に排出すると考えられている。いくらかの例がテストされているが、実際の効果は不明である。

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ミネラルの補給

ミネラルは体内の新陳代謝が円滑に行われるのに必要な栄養素である。ミネラルは製茶過程で増減しないから、いずれの茶にもミネラルが多く含まれ、とくにカリウムが豊富で,茶飲用により体内の過剰なナトリウムと置換することで、脳卒中の防止に役立つ。他にカルシウム、マンガン、ナトリウム、フッ素、さらに亜鉛、銅、ニッケル、モリブデン、セレンといった微量要素も抗酸化作用に必要と言われている。

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ビタミンの補給

紅茶で有効なビタミン効果は、ビタミンB群の中でB1、B2、ナイアシンがあり、抽出液にも比較的多く溶け出ている。あらゆる栄養素の代謝に必要なビタミンである。

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アロマテラピー効果

紅茶の香り、飲む雰囲気のくつろぎは、ストレス解消による健康改善に役立っている。

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紅茶のうがいほか直接塗布による効能

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インフルエンザ対策

インフルエンザに関してはウイルスの種類に関係なく、紅茶テアフラビン、緑茶カテキンがウイルス粒子を凝集させ、感染力を失わせる。あくまでも予防効果であり、ウイルスが細胞内に入り込み増殖し始めた状態ではお茶の作用は及ばない。対症療法の投薬が必要である。お茶によるうがいが予防には有効であるが、喉から鼻にかけて紅茶液が行き渡るような工夫が望ましい。

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歯垢合成酵素阻害作用

カテキンやテアフラビンは歯垢合成酵素阻害作用があるので、紅茶うがいによる歯垢防止効果があるが、虫歯菌殺菌効果はそれほど強くない。紅茶に含まれるミネラルのフッ素は歯のエナメル質の強化に役立つ。

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消臭効果

茶の匂いの吸着力は古くから知られ,魚の生臭味のトリメチルアミンやニンニク臭のメチルメルルカプタン吸着能は測定されている。茶ポリフェノール入り口臭抑制用錠剤が市販されている。使用後の紅茶ティーバッグ活用方法として、包丁の臭み取りや冷蔵庫内の脱臭に用いられる。畜産舎の消臭に茶殻利用が実用化されている。茶ポリフェノールは新築家屋の建材から出るホルムアルデヒドをよく吸着するから、使用済み紅茶のティーバッグをたくさん部屋に置くことはシックハウス症候群の予防になる。

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水虫、たむし対策

茶殻で洗浄することで水虫、たむしの治療効果があるといわれている。実際、紅茶ポリフェノールの白癬菌に対する殺菌効果は証明されている。寝たきり患者の体の清拭に茶抽出液が用いられ、抗菌や消臭効果が実証された例がある。

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日焼け障害緩和の効果

海水浴等で急激な日焼けをして、一種の火傷になり激しい傷みを感じたときに、使用済みの紅茶のティーバッグ(乾燥していない状態)を添付することにより、傷みが弱まるという事例がある。

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